とのインタビュー Dana White
CEO and president of the UFC
インタビュアー Lex Fridman • 2024-03-25

レックス・フリードマンとの魅力的な対談の中で、UFCの立役者であるデイナ・ホワイトは、自身の並外れた道のりの舞台裏を明かした。幼い頃の喧嘩の記憶から、世界最高峰の総合格闘技団体を築き上げた絶え間ない戦いまで、ホワイトは格闘技界に革命を起こす道を形作ったビジョン、情熱、そして不屈の精神について率直な見識を語った。
格闘技のルーツ:アリからHBO解説まで
デイナ・ホワイトの格闘技への関心は幼い頃から始まった。祖母の家で見たアリの試合を取り巻く熱狂的な雰囲気に刺激を受けたのだ。彼は「幼心に、家中に満ちるあの熱気とエネルギーがたまらなく好きだった」と振り返る。この最初の火花は、彼の生涯にわたる情熱に火をつけた。その情熱をさらに掻き立てたのは、ホワイトが「史上最高のボクサーであるだけでなく、史上最高の人格者」と称賛するモハメド・アリのような伝説的な存在だった。17歳の頃、ハグラー対レナード戦に心を奪われ、ハグラーが不当な判定で敗れたと感じたその試合を「百万回」も再視聴したことで、彼の格闘技への愛は一層深まった。
しかし、ホワイトのビジョンを形成したのは賞賛だけではなかった。そこには激しい批判も含まれていたのだ。彼はボクシング中継のエキスパートとなり、自身が愛する点、そしてより重要なことに「ボクシングについて嫌いだった点」を綿密に分析した。彼は「試合中に選手を酷評する」コメンテーターを嫌悪し、HBOのラリー・マーチャントをその典型的な例として挙げている。ホワイトは、かつてマイク・タイソンが悪名高い入場をした際、アナウンサーがその記念すべき瞬間ではなく過去の失敗に焦点を当てたエピソードまで語った。このフラストレーションは、試合を「どのように伝えるべきではないか」について彼に計り知れない教訓を与え、その結果、「実際にその世界に身を置き、それを成し遂げ、心から愛し、スポーツに対して途方もない情熱を注いでいる」人々からなる解説チームを構想するに至った。
Key Insights:
- 幼少期に格闘技の持つ生のエネルギーとアリのような象徴的人物に触れたことが、生涯にわたる情熱の基礎を築いた。
- 既存の格闘技中継における強みと明白な弱点の両方を分析したことが、彼の将来の戦略の参考となった。
- 選手を単なるアスリートとしてではなく、人間として深く尊重する気持ちが、彼の解説哲学に影響を与えた。
予想外の転換:ボクシングファンからMMAのパイオニアへ
ボクシングに深く根ざしていながらも、ホワイトは当初、黎明期の総合格闘技の世界とは無縁だと感じていた。1993年にUFC 1を視聴し、ホイス・グレイシーの画期的な勝利を目撃したものの、グラップリングが優勢になると「完全に興味を失ってしまった」という。しかし、彼とフェティータ兄弟(ロレンゾとフランク)がジョン・ルイスから初めてブラジリアン柔術のレッスンを受けたとき、状況は劇的に変化した。これこそがホワイトにとっての「レッドピル」の瞬間だったのだ。「『マジかよ、信じられない、俺は28歳なのに、地面でこんなことをされるのは初めての経験だ』と、あの時思ったのを覚えている。初めて体験すると、本当に目から鱗が落ちるような、衝撃的な経験で、完全にのめり込んでしまうんだ。」
この個人的な没入体験は、MMAファイターたちの真の姿を明らかにし、彼らが「卑劣で忌まわしい人間」であるという一般的な悪評を払拭した。ホワイトは、会計学を優秀な成績で卒業したチャック・リデルのような大卒アスリートや、農場育ちのマット・ヒューズを発見したのだ。これらの魅力的な生い立ちと、格闘技の純粋な有効性が相まって、ホワイトとロレンゾは「もしこれを正しく運営すれば、とてつもないものになる」と確信した。その機会は、UFCの旧オーナーであるボブ・メイロウィッツとの契約紛争中に予期せぬ形で訪れた。メイロウィッツは会社が苦境にあることを認めたのだ。ホワイトはこの好機を逃さず、ロレンゾに電話をかけ、最終的にわずか200万ドルでUFCを買収した。
Key Changes:
- ブラジリアン柔術の個人的な体験が、当初の無関心を深い中毒と理解へと変えた。
- 世間の認識とは裏腹に、ファイターたちの人間性や魅力的な生い立ちを認識したこと。
- 未開拓の可能性を強く信じ、苦境にある団体を買収するという大胆かつ機会主義的な決断。
「ワイルドウェスト」との戦い:リーダーシップ、ビジョン、そして冷徹な実行力
ホワイトとフェティータ兄弟のもとでのUFC初期は、華やかさとは程遠いものだった。「まさに無法地帯、ワイルドウェストだったんだ」とホワイトは当時を振り返り、汚職、悪徳業者、さらにはライバルプロモーター間の文字通りの暴力が蔓延する状況を描写した。彼は、「毎日テキストを送ってきて…殺すぞと脅してきた」ライバルプロモーターから受けた脅迫について詳しく語った。これらの外部からの脅威に加え、ホワイトは内部の戦いにも直面した。それは、熱烈なフィル・バローニのインタビューを入れるという彼の指示に背いた制作チームへの対応だった。彼の反応は迅速かつ断固たるものだった。「俺は文字通り、クソ席から立ち上がり、奥に行って、トラックのクソドアを蹴り開けて言ったんだ。『お前らこの野郎。二度と同じことしたら、全員クビにしてやるからな』って」。そして彼は最終的にクルー全員を解雇した。
ホワイトは、UFCを最初に買収した際、制作については「何も知らなかった」と認めている。イベントを「2、3週間で実現」しなければならなかったのだ。このため、彼らは最終的な製品をどのようなものにしたいかという明確なビジョンに突き動かされ、ぶっつけ本番で全てを学ぶことを余儀なくされた。彼のリーダーシップへのアプローチは明確になった。「ビジョンを持たなければならない。ビジョンがなければ何も始まらない。それが俺の役割だ。俺はこの物事のビジョンを担う部分なんだ」。その後、彼はそのビジョンを実行するための専門チームを構築し、自身の成功の多くを「チーム作りが非常に得意であること」に帰している。
Key Practices:
- 汚職や外部からの脅威に正面から立ち向かい、決してひるまないこと。
- 製品とその見せ方に対し、明確で譲れないビジョンを維持すること。
- 制作のような未知の分野でも、素早く学び、適応する意欲。
- 実行のために、非常に有能で方向性の合ったチームを編成することを優先する。
飽くなき追求:情熱、忠誠心、そして帝国の建設
UFCを何十億ドルもの金額で売却した後も続くホワイトの成功は、シンプルながらも奥深い哲学に集約される。「成功の秘訣は、まず第一に情熱と一貫性だ、と言えるだろう」と彼は語る。毎日午前9時30分に出社し、しばしば遅くまで働く。これは、彼が貧しかった頃も維持し、莫大な富を築いた今も続けている習慣だ。「俺はこれを愛しているからやっているし、もっとやるべきことがたくさんあると感じている。これはまさに俺の人生の情熱なんだ」。この飽くなき献身は、個人的な犠牲にも及んだ。彼は、チャック・リデルの試合のために次男の出産を日程変更したという有名なエピソードを明かす。「『ああ、それは無理だな。もっと早く出産させないと』って感じだったよ」。
彼の道のりは、重要な人間関係にも支えられていた。ジョー・ローガンの「計り知れない」影響力を称賛し、ローガンがスポーツへの純粋な愛とグラウンドゲームを巧みに言葉にする才能に突き動かされて、最初の13番組を無料で務めたと指摘した。ホワイトのローガンに対する忠誠心は深い。彼は、ローガンを解説から外すよう圧力がかかった際、辞任を申し出たことを明かしている。「俺はあいつのためなら燃え尽きる。仲間に対してそんなことは絶対にしない」。また、ロレンゾとフランク・フェティータの補完的な個性(ロレンゾの冷静さがホワイトの激しさとバランスを取っていた)と、彼らの最初の200万ドルの投資にも感謝の意を表した。その投資は、「過去25年間で」数え切れないほどの人生を変えた、数十億ドル規模の帝国へと発展したのだ。
Key Learnings:
- 経済状況に関わらず、揺るぎない情熱と一貫した努力が最重要である。
- 画期的な成功には、しばしば極端な個人的犠牲と「全てを賭ける」覚悟が必要とされる。
- 主要なパートナーや従業員との忠誠心を育むことは相互的なものであり、強固な組織の礎となる。
- パートナーシップ内で多様なスキルセットと個性を活用することで、強力でバランスの取れた力が生まれる。
偉大さの創造:物語、伝説、そしてUFCのエートス
デイナ・ホワイトは自身の役割を単なるプロモーター以上のもの、つまりストーリーテラーだと見なしている。「俺は派手な演出をする男だ。土曜日に試合があるということを、可能な限り多くの人々に確実に知らせる…そして、なぜ人々がそれに関心を持つべきなのかを伝えるんだ」。彼はUFCが結果を指示するという考えを否定し、「一度扉が閉まれば、全ては君次第だ。負けるかどうかも君が決める」と強調する。このエートス(精神)が真の競争を育み、まるで「患者が病院を牛耳る」ようにファイターが厳しい対戦を避ける他の団体とは対照的な存在にUFCを位置づけている。
ホワイトは、困難な、あるいは劣勢と見られる対戦を受け入れることが「とんでもない伝説を生む」と強調した。ダスティン・ポイエーの最近の勝利、イズラエル・アデサンヤのショーン・ストリックランドへの敗北、そしてコナー・マクレガーのキャリア初期を例に挙げている。マクレガーについて言えば、ホワイトは彼の悪名高い遅刻癖にもかかわらず、「信じられないほどのパートナー」だと称賛した。ホワイトによれば、マクレガーは「決して部屋に入ってきて『とんでもない、こんなクソなリスクは取らない』とは言わなかった」。彼は急な変更を避けたり、さらなる金銭を要求したりすることはなく、ただ「クソくらえ、やろうぜ」と答えたという。戦い、結果を出すというこの意欲が、マクレガーを大陸を「熱狂させた」「正真正銘のメガスター」にしたのだ。史上最高の選手(GOAT)に関する議論については、ホワイトは議論の余地なく「それは間違いなくジョン・ジョーンズだ。彼は一度も負けていない。オクタゴンで打ち負かされたことは一度もない」と断言した。
Key Insights:
- UFCの核となる使命は、魅力的な物語と正当な競技を生み出すことであり、八百長ではない。
- 困難な、あるいは劣勢と見られる対戦を受け入れることが、伝説的なファイターや瞬間を築く上で不可欠である。
- コナー・マクレガーのような真のパートナーは、金銭的利益を超えたコミットメントを示し、スポーツを前進させる。
- MMAにおける偉大さを定義する上で、支配力、選手寿命、そして「窮地の戦い」で粘り強く戦い抜く意思が重要な指標となる。
「世界の最も力のある人々は皆、格闘技に夢中だ」 — デイナ・ホワイト


